決勝の講評
川口 泰弘氏(全国削ろう会 世話役)
一般の部決勝
決勝の数値だけを見ると、一般予選(北海道枠含む)と大分開きがある様に思われる方もいらっしゃると思います。
今回の決勝材は北海道産カラマツという事もあり、普段削りなれていない材料を用いました。
カラマツの持つヤニが一つ目の難題です。
刃先にヤニが着くことにより薄く削ろうとすると刃先についたヤニにより予想外の割れが(実際には刃先は欠けていない)生じます。その事により、何回も削ってしまうと刃先がヤニだらけになり、厚みを出して削らないと綺麗な削り華にならない。
優勝した近藤さんは、その特性を見抜き、僅か2回で計測をしました。
いかに最初刃の調整を合わせる事が出来るのかが、勝敗を分けてしまいます。
ヤニ以外にも、厚くなる要素がございます。
それは、《プレッシャー》。
決勝という事で、皆さんの視線と3m超の削り材を綺麗に繋げなくてはいけないという心理的なプレッシャーです。薄くしてカスレて計測不可よりも少し厚みをもたせ計測をし、記録を残したいとなってしまいます。
材料を見て、どのように削ればよいか?削ってからの材料の硬さや性質を見抜く力も必要となります。
女性の部決勝
女性の部の決勝材は、2mの桧という事もあり、3人の数値が拮抗しておりました。
薄く見えても計測をすると厚いのは普段削りなれていない材種ですと、普段の材料と違いどのくらいの薄さでこの厚みくらいかな?という感覚のズレが生じます。そこが一つの分かれ目です。
2位の成川さんと3位の柳原さんは同数でしたが、削り華の綺麗さで勝敗が分かれてしまいました。
学生の部決勝
女性の部と同じ材での決勝です。
優勝の渡辺さん、2位の原さんは削りに安定感がありました。
残念ながら野呂さん、横川さんは計測不可になってしまいましたが、あと少しの所で屑がつながらなかったです。少し台に狂いが生じていたように思います。